「進撃の巨人」とはエレン・ミカサ・アルミンの幼馴染3人組の物語である、と捉えて読んできました。
この読み方は、現在最新話134話の展開を見ても間違っていないと感じられます。
しかしいっぽうで「緻密に伏線と回収が構築されているミステリー」としても読めますし、「登場人物の成長物語」「ループ物か否か」という読み方もできます。
様々な側面を持った「進撃の巨人」ですが、「これら全てが進撃の巨人という作品」と言えるでしょう。
ただ注目すべきは、そこに込められたメッセージです。
諫山先生は「進撃の巨人」という物語を通して、読者に何を伝えようとしているのか?
残り1,2%と明言されている時点で見えてきた「進撃の巨人」という作品の本質。
あくまで個人的な見方ですが、ここでアースが感じた「進撃の巨人」を紹介したいと思います。
◆進撃の巨人に込められたメッセージとは
2009年からの連載で当時23歳だった諫山先生も現在では34歳。その間に結婚もされてるし、物語にも厚みが増しているのは諫山先生自身の変化や成長があるのだろうと察せられる。
連載初期からの画力の成長は良く指摘されるけれど、物語の厚みという部分に、より注目すべきかも。#進撃の巨人— アース(進撃の考察管理人) (@singekinb) November 9, 2020
まずはこれまでの「進撃の巨人」から感じられた、諫山先生からの大きな二つのメッセージを紹介します。
「繋ぐ命」というメッセージ
ここで誰も続く人がいなかったら 今までに死んだ人達の命が無駄になる!
by エレン・イェーガー第1話から重たい話… pic.twitter.com/xvX6A1S0lq
— 進撃の巨人名言ログ (@singeki10014750) August 16, 2015
「進撃の巨人」は残酷な物語です。
物語の中では残酷な現実に、一人ひとりの命はあっさりと潰えますがそれでも次の世代に繋げその命に意味を見出します。
これは第1話でのエレンの「ここで誰も続く人がいなかったら 今までに死んだ人達の命が無駄になる!」という言葉にも込められているメッセージですよね。
さらに20巻80話の名シーンである、エルヴィンの演説にも通じています。

名も無き人々一人ひとりが繋げてきた命に意味を与えるのは次の世代の人々だ、というメッセージ。
もっと言うと次の世代に未来を託し、大きな目的・夢を叶えるため死にゆく人たちが描かれているように感じます。
これは、「進撃の巨人」の初期から一貫して込められているテーマに感じますよね。
現実世界でも起こっている残酷な事象を「巨人」というフィクションにし、真っ直ぐに捉えて描いているように見えます。
我々個人の小さな命が繋ぎ、果たされる大きな夢。
イメージは、水滴が川となり海にたどり着くような感じですね。
水滴が個人の命であり、川が人類全体みたいな。
果たされる夢が何なのかは分かりませんが、物語の最後に描かれるのかもしれませんね。
「敵とは何か?」というメッセージ
本当に駆逐すべき敵とは何か?
母親を殺されたエレンは巨人を敵として見定め、巨人の駆逐を誓います。
しかし21巻で敵は巨人ではなく世界であることが分かり、敵は海の向こう側へと変わります。
いっぽうで、22巻からマーレ側目線へと物語は変わります。
これまで巨人側で敵であったライナー、ベルトルト、アニ側の境遇が明らかとなり、彼らが敵ではなく駆逐の対象ではない、と分かってきます。
さらに世界がパラディ島を憎しみの対象としていることも分かり、マーレを倒したとしても問題は解決しないとも分かってきます。
21巻まで敵だと目されていた巨人やライナー達ですが、22巻以降に彼らの境遇・過去が描かれる事により、倒しても解決しないことが分かって来るのです。
ここに、諫山先生からの「目の前に立っている敵にも事情があり、その相手を倒しても根本的解決にはならない」というメッセージが込められているように感じます。
もっと言うと「本当の敵は人ではない。人が生む憎しみでありそれは人を倒しても解決にはならない」と言うメッセージが込められているように感じます。
◆134話描写から見える諫山先生のメッセージとは
先延ばしにし膨れ上がった罪を未来の子に託す大人たち。その大罪が地鳴らしとなり未来の象徴である赤子をも踏み潰す…そんなイメージを抱いた134話。
壁を超え自由を求めるというシンプルな作品からの現在の進撃の巨人は、別作品のよう。もちろん今の進撃も大好きだし、むしろ今のが好き。#進撃の巨人— アース(進撃の考察管理人) (@singekinb) November 9, 2020
残り数話にまで迫ったと考えられる134話。
ここには「ヒストリア出産」「地鳴らしと赤子」「エレンにたどり着いたアルミン達」が描かれていました。
「ヒストリア出産」と「地鳴らしと赤子」には、死んでいく人達と未来を託される赤子が描かれているように読めましたよね。
まさにこれは21巻まで通して描かれてきた「次の世代に未来を託し、大きな目的・夢を叶えるため死にゆく人たち」が描かれているように感じましたよ!
さらに「エレンにたどり着いたアルミン達」には、「敵とは何なのか?」というイメージ持ちました。
エレンに到着し戦うアルミン達ですが、アルミン達はエレンを敵と認識していません。
あくまでアルミン達は、地鳴らしを止めるために戦っています。
つまり、「『地鳴らし』と戦っている」と読んでも良いのかな、と感じられました。
では、この地鳴らしとは何なのか?
今回134話で、名も無きマーレの将校が語っていましたね。
「我々が至らぬ問題のすべてを吐き捨ててきた結果生まれた怪物」「我々が与え続けてきた憎悪」「私達の怪物」と。
134話
私達の怪物とは…
エレンのコトだけを指しているんじゃない。
自分達の心の中に居る怪物のコトだ。
森の中に居る悪魔、怪物…
それらに別れを告げるんだ。 pic.twitter.com/W2sQ7KPUuk— ユミル・イェーガー (@i_yumiru) November 11, 2020
地鳴らしとは、「これまで大人たちが先送りにしてきた問題から生まれた人災・災害」と言えるように感じます。
リアルで言うと何に当たるでしょうか?
地球温暖化、ごみ問題、差別問題、宗教戦争、原発問題…
日本だけでなく世界中で先送りにされてきた問題は数多くあり、それらは未来の罪のない子らにもそのまま押し寄せるように予想されます。
まさに、地鳴らしのように。
アルミン達が止めようとしているのは、「未来に残してはいけない、ここで止めなければいけない問題」のように感じますよね!
ヒストリアが産んだであろう子のためにも…
こうやって見ると「進撃の巨人」には、過去の死んでいった人たちの意味は現在の自分たちの行動が決め、現在先送りにしている問題は未来の子達のために駆逐しなければならない、というメッセージが込められているように感じますね。
全ては今の自分たちの行動にかかっているのだと。
諫山先生からの強いメッセージが込められているように感じますよ!
今回は「進撃の巨人」に込められたメッセージについて考察し紹介しました。
- 次の世代に未来を託し、大きな目的・夢を叶えるため死にゆく人たちが描かれている
- 本当の敵は人ではない。人が生む憎しみでありそれは人を倒しても解決にはならない
- 先送りにしている問題は未来の子達のために駆逐しなければならない
アルミン達は未来の為に地鳴らしを止められるのか?
その結末は未来の子達のためでもあるけれど、初期の段階で巨人に捕食され退場した人たちから紡がれた夢が叶う瞬間でもあるのかな、と感じます。
そう考えると、進撃の巨人の結末にはよりいっそう刮目しなければ、と感じましたよ!
最終話に提示される、諫山先生からの最後のメッセージに要注目です!(*^^*)






