信が少年誌の主人公ように真っ直ぐなキャラクターなため恋愛描写が非常に少ない作品となっていますが、それを埋めるかのように激しい男女の仲が描かれたのが趙姫こと、嬴政の母太后(たいこう)でした。
一流の舞姫として多くの男達を虜にしていた太后でしたが心底惚れていた呂不韋に裏切られ、敵国趙で酷い暮らしを経験し心をこわしてしまいます。
そのため趙の太后となった後も呂不韋を求め、密通を繰り返します。
しかし体の関係で呂不韋と繋がる事ができても、その関係から壊れてしまった心が救われることはありませんでした。
そんな太后の心を救ったのが、嫪毐(ろうあい)です。
もともと呂不韋の策略で太后の元に送り込まれた嫪毐(ろうあい)でしたが、太后にとってかけがえのない人物となります。
この嫪毐が史実に登場した人物というのは有名ですが、実際はどのような人物だったのか?
太后の心を救ったというのは史実なのか?
嫪毐を順番に見て行きましょう!
キングダム嫪毐(ろうあい)とは
嫪毐が初登場するのは24巻です。
勢力拡大のために後宮勢力を取り込む手段として太后と男女の関係を持った呂不韋ですが、執拗に求めてくる太后に身の危険を感じ始めます。
そこで代わりに太后に充てがったのが、嫪毐(ろうあい)でした。
趙で暮らしていた時期に心が壊れてしまった太后は、常に心が渇き男性を求めていました。
そんな太后を満足させるために日々関係を持つことは呂不韋にとっても非常に危険だったため、巨根で車の車輪を回す事が出来るという強い精力を持つ嫪毐を後宮に送り込みます。
呂不韋から見れば太后を満足させることには変わりなく、実際それは達成され、後宮勢力はこの後も呂不韋に協力し続けました。
しかし嫪毐が満たしたのは太后の体だけではなく、心をも満たしたのでした。
太后の願いから、二人のため嫪国(あいこく)が建国されます。
二人の子を儲け、太后にとって満たされた日々が訪れます。
しかし周りの大臣たちの甘言により嫪毐は秦に反乱を起こしてしまい、失敗。
反乱の首謀者である嫪毐は車裂きの刑により死亡してしまいます。
太后も幽閉されながらも生き延びており、嬴政が匿った嫪毐との子ともいつか再会されるような描写がありました。
嫪毐は壊れ渇き続けていた太后の心に水を注ぎ満たし救った、愛に溢れた人物だったと言えそうです。
キングダム嫪毐(ろうあい)は史実にも登場していた
嫪毐は史実にも登場しており、ほぼ「キングダム」通りの人物だったように見えます。
巨根で車の車輪を回す事が出来るという嫪毐の宴会芸を知った呂不韋は、執拗に求めてくる太后に嫪毐を充てがい関係を清算することに成功します。
嫪国建国も史実であり昌平君と昌文君に鎮圧され、車裂きの刑により死亡退場してしまうところまで史実通りとなっています。
しかし史実では、嫪国を建国した嫪毐はものすごい権勢を誇っていたと記されています。
嫪国を築き絶頂期の嫪毐は、楚の春申君よりも栄えていたとか秦の大臣達が呂不韋に付くべきか嫪毐に付くべきかで悩んだというほどの権勢を誇ります。
「キングダム」では太后が主導で嫪国を作り周りの大臣の甘言によって反乱を起こしたような展開でしたが、史実の嫪毐はけっこうなキレ者で「太后を利用して国を作った野心家」だったのではとイメージされます。
むっちゃイケメンでやり手の一流ホストみたいな。
そんなイメージを持ちますよ。
「キングダム」の嫪毐のように実直に太后の心を満たしたのではなく、言葉巧みに太后を操り己の野心を満たしたイケメン実業家のような感じだったのではと。
あまり好ましい人物をイメージはできませんよね(笑)
人物としては「キングダム」の嫪毐の方が良い印象を持ちますよ
キングダム嫪毐(ろうあい)の子供は史実ではどうなった?
「キングダム」では嬴政の配慮により助かった嫪毐と太后の子ですが、史実では二人とも殺されてしまっています。
幽閉された太后の元を訪れ、振り返りもしない太后の背に手を添え「何年先になるか分からないが必ず引き合わせる」と告げる嬴政のシーンは、キングダムオリジナルの展開ということになります。
このシーン、たまんないですよね!
史実ではそのような配慮は無かったようですが、父を惨殺された子を残しては中華統一もままならないという判断でしょう。
「キングダム」では助けたというのは、原先生の優しい性格からのような気もします。
そこから嬴政のたまらない名シーンが生まれたのですから、原先生の優しさには感謝ですよね!
そんな原先生の優しさから名作「キングダム」は生まれているのだな、と感じますよ。
キングダム嫪毐(ろうあい)は最も一途な愛を貫いた男!
どちらかというと愚鈍で、「巨根で精力が強い」だけが取り柄な男として描かれている「キングダム」嫪毐。
たしかに40巻で太后も「何の才覚もなく野心も持たない取るに足らないただの小男」と評していました。
これは車裂きの刑から嫪毐を救おうとして言った詭弁かもですが、「うんうん」と頷きながら納得する読者がほとんどでしょう。
そのように、「キングダム」の嫪毐は描かれていたように読めます。
しかし生きたまま馬によって四肢を引き裂かれる車裂きの刑という、最も残酷な刑に処される直前まで太后を守ろうと「全て自分がやった」と言い続ける嫪毐は、決して「取るに足らない小男」ではないとアースは感じます。
息子の嬴政や、長きに渡り秦の実権を握っていた呂不韋ですら救えなかった太后の心を満たし救った嫪毐。
武力も知力も無い嫪毐ですが、「一途な愛」だけは誰にも負けていなかったと読めますよ。
李牧や王翦、桓齮も持っていない一途さ。
地味な人物に描かれていますが、ある意味最もリスペクトされても良い人物だったのではと今回の考察で感じました!
今回は、「嫪毐」を見てきました。
地味だけどある意味最も漢(おとこ)だった嫪毐。
武力も知力も無い人物が必死に高嶺の花のような女性を愛し救おうとする姿は、カッコいいですよね!
アースには、嫪毐がそのように見えましたよ!
嫪毐退場の40巻をもう一回読み返そうと思うアースでした!\(^o^)/
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