名探偵コナンのストーリーに大きく関わってくる「黒の組織」が開発している薬「APTX4869」。
2020年7月時点でわかっているAPTX4869の情報をまとめました!
APTX4869の基本概要
まずはAPTX4869(アポトキシン4869)とはなんなのかを解説していきます。
- 効果や効能・目的・役割
- 接種している人物
- 開発者
- 解毒剤の有無
APTX4869とは
APTX4869(アポトキシン4869)は工藤新一が組織のメンバー、ジンに飲まされた薬の名称です。
ジンは毒殺目的でこの薬を飲ませましたが、新一は死ぬことなく体が幼児化するといった効果が発現しました。
ここから名探偵コナンの長い歴史が始まります。
効能・効果・目的・役割
本来の薬の目的は不明です。
その目的のための開発過程で「体から毒が検出されない完全犯罪が可能な代物」である毒薬が生まれました。
これが薬の本来の目的でないことは、ジンの「出来損ないの名探偵」(出来損ない=試作段階)との台詞や、灰原の「毒なんて作っているつもりなかった」との台詞からも明らかです。
一方で、ピスコこと枡山憲三は本薬の副作用で小さくなった灰原をみて、「まさか君がここまで進めていたとは」と完成には至っていないことを示唆すると同時に、APTX4869の効果が幼児化と同種の類であることを匂わせています。
灰原は幼児化したコナンの姿を見つめながら「組織が半世紀前から進めていた極秘プロジェクトに、深く関わってしまっている」とモノローグで語っていることから、APTX4869が組織の真の目的に大きく関わっており、それも幼児化に類する効果である可能性が示唆されています。
また、組織と電話でやりとりした板倉卓の日記には「時の流れに逆らって死者を蘇らせようとしている」との組織メンバー(ベルモットと推定されます)の発言が残されていますが、「死者を蘇らせる秘薬」のような「夢のような薬じゃない」と灰原が発言しています。
なお本編外の発言ではありますが、原作者の青山剛昌先生は「不老不死の薬ではない」と明言しています。
接種者(服用者)について
本薬の接種者は作中で確定しているだけでも3名存在します。
- 工藤新一(江戸川コナン)
- 宮野志保(灰原哀)
- メアリー世良(メアリー赤井)
この3名は服用シーンが本編中で描かれており確定です。
また、新一については「まだ人間には試したことがない」とのジンの台詞があることからAPTX4869の接種者第1号の可能性があります。
一方で、APTX4869には接種者リストとよばれる、この薬を飲んだ人物のリストが存在します。
このリストの名前の横にはその後の状態が記載されており、工藤新一以外のすべての名前に「死亡」の2文字が記載されています。
工藤新一については「不明」となっていましたが、組織を抜け出したシェリーこと灰原哀(宮野志保)によって「死亡」に書き換えられています。
このリストに羽田浩司の名前もありますが、羽田浩司は17年前に死亡していることから、前述のジンの台詞(新一が接種者第1号)との矛盾が指摘されています。
これについては考察で掘り下げます。
開発者について
本薬の開発者は灰原哀です。
原作18巻で「組織に命じられ私が作った薬」と明言しています。
ただし後の原作89巻で「私の父と母が作った薬」で「資料を掻き集めてその薬を復活させた」と語っていることから、本薬が宮野厚司・宮野エレーナによって開発されたものが元となっていることが示唆されています。
一方で灰原は、「私が本当に作らされていたのは別の薬」と続けて語っているなど、現時点で確定した情報はありません。
これについても考察で掘り下げます。
解毒薬について
本薬には解毒薬が存在します。
正確には幼児化した灰原が薬のデータを元に開発したものです。
効果は幼児化する前の姿、すなわち元の姿に戻るもので、過去にコナンは3回服用し新一の姿に戻っています。
ただしその効果は一時的なものとなっており24時間前後でコナンの姿に逆戻りしました。
これについて灰原哀は「これぐらいは許容範囲ね」と語るなど、「完全に元の姿に戻る薬」としての完成には至っていない「試作品」であることを認識しています。
また、キーポイントの一つとして服用時に風邪を引いていることが条件となっており、コナン・灰原ともに服用時点では例外なく風邪を引いていることが確認されています。
※ただし作中での言及はないため、これにコナンや灰原が気づいているかは不明です。
APTX4869(アポトキシン)に関する考察
前述のとおり、APTX4869は最低2種類存在することが確定しています。
- 宮野厚司・宮野エレーナが作成したもの
- 灰原哀が作成したもの
まず①について考察していきます。
APTX4869の元となった宮野夫妻が開発した薬とは
宮野夫妻の開発した薬は正しく使えば人類の救いに、悪用されると人類の脅威になる「モルヒネ」のような薬だった。
原作95巻では18年前の宮野厚司とエレーナの回想シーンが描かれています。
- 宮野厚司には研究している何かがある
- その研究は宮野厚司の夢である
- 町医者の片手間にできる研究ではない
- かつて宮野厚司は学会でマッドサイエンティストと叩かれていた
この研究のために烏丸グループ(黒の組織)に加入したという流れです。
ただし、一連の回想シーンの夫妻の会話は明るく前向きで後ろめたさもないことから、人類を害する類いの薬ではないことが示唆されています。
この回想シーンの時期ですが、エレーナが灰原を懐妊中(3カ月)であることから灰原の年齢18歳から逆算し18~19年前と推察できます。
一方で、原作78巻で宮野エレーナのカセットテープには「とても恐ろしい薬」との言葉があります。
このテープは死期を悟ったエレーナが灰原に残したもので、夫妻の死亡時期は「私(灰原)が生まれてすぐ」と語っていることから17~18年前であると推定されます。
同一のものに対する感想・認識がわずか1、2年でここまで変化するでしょうか?
またそのテープの続きには、ラボの仲間が「夢のような薬と浮かれている」こと、夫妻がこの薬を「シルバーブレッド」と「願いを込めて」呼んでいることが残されています。
仲間が浮かれている理由と宮野夫妻の「明るく前向きな夢」とは一致していてもおかしくありません。
ただ組織の目的が「明るく前向きな」ものであるとはとても思えないのも事実です(かなり偏見が入っていますが笑)。
夫妻は組織に加入したことで用法用量を守って正しく使えば「夢のような薬」だけど、悪意を持って使用すると「とても恐ろしい薬」になることに気づいたのかもしれません。
例えば現実世界にも存在するモルヒネは鎮痛目的に使用される医薬品ではありますが、モルヒネをもとに作成されるヘロインは最強・最悪の覚せい剤としての一面を持ちます。
もしかしたら宮野夫妻の開発した薬はこのような二面性を持つ物だったのかもしれません。
灰原哀が復活させたAPTX4869とは
宮野夫妻が作成した旧APTX4869と灰原が復活させた新APTX4869は一部の効果が異なるが意図的か偶然か、はたまた効果も実は同じかも含め現時点では不明。
灰原が復活させたAPTX4869は前述の通り原作89巻で「私の父と母が作った薬」で「資料を掻き集めてその薬を復活させた」と語っていることから、宮野夫妻によって作成されたAPTX4869と基本的には同じものです。
ただし、発現した効果の一部に違いがあります。
前述の通りAPTX4869には接種者リストがあり、そこには羽田浩司と工藤新一の2人の名前も存在します。
羽田浩司は17年前に亡くなっておりAPTX4869を接種したとすれば「宮野夫妻によって開発されたAPTX4869」を服用しているはずです。
一方で工藤新一は前述のジンの発言から「灰原が復活させたAPTX4869」を服用しています。
これによりこのリストは新旧APTX4869をすべて含めた接種者リストになっていることが分かります。
一方で原作18巻の灰原がコナンに対し「あの薬を飲んだ人間のなかで、あなたの死亡だけが確認されていなかった」と語っています。
つまり旧APTX4869の接種者はすべて死亡しているのです。
この2つにより新旧の効果の違いが浮かび上がります。
- 旧APTX4869を飲んだ人物は(公式的には)死亡しており幼児化していない
- 新APTX4869を飲んだ人物の一部は死亡しておらず幼児化している
(ただし接種者リストには灰原の名前がないなど、「組織が飲んだ・飲ませたことを確認した者」だけが記載されており、非公式に服用した人物が幼児化した事例があった可能性は否定できません)。
これが偶発的なものによるのかそれとも意図的なものなのかは原作の描写がまだありませんが、灰原が作らされていた「別の薬」に関係があるのかもしれません。
組織のメンバーはAPTX4869の目的を共有しているのか?
ピスコ・ベルモットら一部メンバーは認識しているがジンなど組織の幹部でも知らない人間がいる
原作24巻で組織に捕まり死期を悟った灰原はコナンに対し、APTX4869についてこう語っています。
- APTX4869のアポ(AP)とはアポトーシス、プログラム細胞死のこと
- APTX4869はアポトーシスを誘導している
- APTX4869はテロメラーゼ活性を持っている(細胞の増殖能力を高めている)
かなり難しい内容のため正確な理解ができておりませんが、細胞に対し作用する薬であることは間違いないです。
(ここからは私自身も完全に理解できておらず、非常に高度かつ現在も研究中で意見が分かれる部分のため、読み飛ばしていただいても大丈夫です。。)
アポトーシスは日常的に人間の体内で発生しており、例えば日本人の死因の第1位であるガンの要因の一つは、本来、日常的に発生している癌細胞をアポトーシスによって死滅させるプロセスが何らかの原因で正常に処理されなくなったことです(専門的には違うかもしれませんが)。
細胞死という単語から「とても危険なこと」と誤解を受けそうですが、人間が生きるために必要なものの1つであることに注意しなければなりません。
これを誘導するAPTX4869の作用がどのような意味を持つかは不明ですが、もし正常な細胞のアポトーシスまで誘導するのであれば、細胞死が急速に起こることで死亡するという、試作段階の毒薬としての作用を表しているのかもしれません。
一方のテロメラーゼ活性を説明する前に、末端複製問題について軽く触れます。
多細胞生物は細胞の分裂・増殖時に自分のDNAの複製しますが、DNAの両端が徐々に短小化してしまいます。
この末端部分がテロメアと呼ばれ年月の経過とともにテロメアが無くなっていき細胞としての限界が近づいていきます。
これらが細胞の老化、ひいては人間の老化につながるとされる現象です。
ここでAPTX4869が持つテロメラーゼ活性とは、この「末端複製問題」を回避するものです。
テロメラーゼによりDNA複製時の短小化を防ぎ事実上の細胞の不死化を実現する作用になります。
言葉だけみると細胞死と対照的にこちらは夢のような作用に見えますが、実は先ほども取り上げたガンがこの現象によって引き起こされています。
ガン細胞も末端複製問題により細胞の劣化と細胞死が起こっているのですが、テロメラーゼ活性により不死化が起こるのです。
これにより体内のガン細胞が死滅せず増殖を繰り返しガン化するのです。
以上、長々と説明しましたがAPTX4869のもつ2つの作用は人間の体内で起こっている生命活動に何らかの作用を及ぼすことがわかりました。
APTX4869の真の目的は限られたメンバーにのみ共有されている
ピスコは幼児化した灰原をみて現象そのものに驚いているのではなく、灰原の研究の進捗に驚いているため、ピスコはAPTX4869の目的や研究テーマについてある程度、理解していたと思われます。
一方でジンは工藤新一の幼児化について、まるで想定していないとしか言いようがない行動をとってきました。
新一が薬を飲まされ世間的に行方不明となった件で、組織の動きは機敏なものではなく、2ヶ月の間に2度、新一の家を調査したのみです。
また、眠りの小五郎やその周囲に頭の切れる小学生がいることは一般人の本堂瑛祐でも調べればわかるほどです。
ジンがAPTX4869の目的や研究テーマを知っていたら、よほどの無能でもない限り新一の幼児化の可能性を考慮したはずです。
そのためAPTX4869の真の目的は「組織の一部メンバーしか知らない」と想定されます。
- ベルモット
- ピスコ
少なくとも、この2人は認識していそうですね。
灰原が作らされていた「別の薬」とは
現時点では「別の薬」の詳細は不明。ただしAPTX4869と密接に関わっているのは間違いない。
前述の通り原作89巻で復活させたAPTX4869の話題にて、灰原は「私が本当に作らされていたのは別の薬」と回想シーンで述べています。
この発言については考察が必要です。
別の薬と発言している以上、復活させた新APTX4869とは別ものと考えるべきです。
本来の目的である完全版APTX4869のことを指しているのだとすれば「別の薬」ではなく「別の目的のため」などの言葉になるはずです。
つまり組織の目的はAPTX4869だけで果たされるものではないということが分かります。
ではこの「別の薬」は何なのでしょうか?
ヒントとなるのは当然APTX4869でしょう。
「別の薬」を最初から開発せずに旧APTX4869を開発していることや、17年後の現在、まずAPTX4869の復活(新APTX4869の開発)を優先させていることからも、この「別の薬」に完全版APTX4869が関わっていると想定されます。
可能性としては2点です。
- 完全版APTX4869と「別の薬」では効果が違う
- 完全版APTX4869と「別の薬」を一緒に服用することで求める効果が発現する
1つ1つ見ていきましょう。
完全版APTX4869と「別の薬」では効果が違う場合
完全版APTX4869と「別の薬」では効果が違うと仮定した場合、最初に思いつくのは若返りと老化の薬です。
若さを取り戻したい年老いた人はまず、若返りの薬を飲み7歳前後の体になる、その後、老化の薬を飲み17歳前後の姿になる、といった新一の体に起こったことを薬によって目指しているのであれば永遠の若さと不老不死が実現します。
ただ、この場合は灰原の「夢のような薬じゃない」との発言と矛盾しています。
この発言はその前に「死者を蘇らせる」との前置きがありましたが、不老不死も十分に夢のような薬です。
そのため、APTX4869が若返りの薬ではないことは確かです。
ただ「別の薬」が老化の薬である可能性は否定できません。
灰原は前述の発言に続けて「この地球のほとんどの人間にはその価値を見いだせない愚かしい代物」と語っています。
また、原作19巻で「時の流れに人は逆らえない」と語り「それを無理矢理ねじ曲げようとすれば、人は罰を受ける」と続けています。
可能性として、「何らかの罰を受けた誰かは永遠に年を取らない子供、もしくは不老不死になってしまった。それを覆し、歳をとらせるもしくは老いて死ぬことができるようにするのが組織の目的である」といったことはあり得るかもしれません。(とても悲しい話になりますが、、、)
完全版APTX4869と「別の薬」を一緒に服用することで求める効果が発現する場合
完全版APTX4869と「別の薬」を一緒に服用することで求める効果が発現するとは、この別の薬が現実世界にある「DDS(ドラッグ・デリバリー・システム)」のようなものと考えるとわかりやすいです。
ガン治療に用いられる治療薬は様々ですがそのほとんどは副作用の危険性が指摘されています。
これは薬がガン細胞だけでなく正常な細胞にまで作用し傷つけてしまうからです。
DDSとはガンの治療薬をガン細胞だけに運び作用させることで、副作用を限りなく抑えようというものです。
完全版APTX4869には前述の通りアポトーシス・テロメラーゼ活性の2つの作用があると灰原によって語られています。
この作用を狙い通りに発現させる目的として「別の薬」があるのではないでしょうか。
APTX4869の考察まとめ
現時点では原作での情報が限られているため憶測が多い考察となりました。
ただストーリーも徐々に核心に近づいており、この薬の真相が明らかになる日もそう遠くはないです。
https://animenb.com/conan-black-tissue-43665